車のスピード感を出す流し撮りの基本
動く被写体に躍動感を与えるシャッター速度の選び方
車のスピード感を最大限に引き出す「流し撮り」に挑戦する際、まず最も重要になるのがシャッター速度の設定です。普段の撮影のように速いシャッター速度で走っている車を撮ると、車も背景もピタリと止まって写るため、まるで道路に駐車しているかのような静止した写真になってしまいます。
動いている躍動感を表現するためには、あえてシャッター速度を遅く設定し、背景を意図的にブレさせる必要があります。目安としては、最初は1/125秒や1/60秒あたりからスタートし、少しずつ1/30秒などの遅い速度に挑戦していくのがおすすめです。速度を遅くすればするほど背景が大きく流れ、スピード感あふれるダイナミックな写真に仕上がりますが、その分車自体もブレてしまう難易度が上がります。
まずは無理のない速度で確実に車を止めて写す感覚を掴むことが上達への近道です。また、シャッター速度を遅くすると光を多く取り込んで写真が明るくなりすぎるため、カメラのモードをシャッター速度優先に設定し、ISO感度を低く保つことも忘れないようにしましょう。
手ブレを防いで背景を美しく流すカメラの正しい振り方
適切なシャッター速度を設定できたら、次はカメラの振り方を身につけましょう。流し撮りを成功させるためには、手や腕だけでカメラを動かそうとするのは禁物です。腕だけで追うと動きが不安定になり、車が上下にブレてしまう原因になります。正しい姿勢としては、両脇をしっかりと締め、足は肩幅に開いて地面にしっかりと立ちます。そして、カメラを構えた上半身は固定したまま、腰をひねるようにして体の軸全体で車を追いかけるのが美しく流すためのコツです。
車が遠くから走ってくるのが見えたら、ファインダーの中に車を捉え、その動きに合わせて同じスピードで腰を回し始めます。シャッターを押す瞬間だけカメラを動かすのではなく、シャッターを切る前から車の動きに同調し、シャッターを押し終わった後もそのままのスピードでカメラを振り抜くフォロースルーを意識してください。
ゴルフや野球のバッティングと同じように、最後までスムーズに動きを止めないことで、被写体である車だけが綺麗にピタリと止まり、背景が美しく流れるプロのような一枚に仕上がります。
猛スピードの車をシャープに捉えるピント合わせのコツ
流し撮りにおいて、カメラの振り方と同じくらい失敗しやすいポイントがピント合わせです。猛スピードで目の前を通り過ぎる車に対して、毎回手動でピントを合わせたり、一度ピントを固定してから撮影したりするのは至難の業です。そこで頼りになるのが、動く被写体にピントを合わせ続けてくれるカメラのコンティニュアスAF(メーカーによってAF-CやAIサーボAFと呼ばれます)という機能です。
この設定にしておくことで、シャッターボタンを半押ししている間、カメラが自動的に車の動きを予測してピントを追従してくれます。さらにピントの精度を上げるためのコツは、車体のどこを基準にするかをあらかじめ決めておくことです。
フロントグリルやヘッドライト、あるいは運転席付近など、コントラストがはっきりしていてカメラが認識しやすい部分にピントの枠を合わせ続けるよう意識してカメラを振ってみてください。
また、一度に一枚だけを狙うのではなく、連写モードを活用して車が通り過ぎる間に複数枚シャッターを切ることで、最もピントがシャープに合った奇跡の一枚を引き当てやすくなります。
